わたしを離さないで

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

何かで書評を読み、映画化されるという話を知ってなんとなく興味を持って読み始めた本。


最大の失敗は、読み始めてすぐ、うっかり映画の紹介を見てしまい、話の重要な部分を先に知ってしまったこと。


いやね、それを見なかったとしても、話の序盤からだんだんわかってくることだし、それが小説の最大のミステリーってわけでもないんだけど、読み進めていく上で徐々にわかりたかったんですよ、そこは。最後の展開につながる肝の部分ではあるしね。。


翻訳ものは苦手だけれど、ちょっと話題だったし著者が日系イギリス人ってこともあってのチャレンジ読み。やっぱり翻訳ものだなぁという読みにくさはあるものの、章立てが細かいし(全部で23章)、展開がゆっくりなのでちょこっとずつでも読み進められたことと、小説全体の組み立てがとっても緻密で後の展開を気にさせたことで、時間はかかったけど無理なく読了できた。このシーンがどうとか、この言葉がどうっていうのはないけど、すごく心に残る本だった。
身近な世界であり大きな世界でもある、日常のことであり究極の哲学でもある、“生きる意味って何だっけ”なんて思ってしまった。
話の組み立てと世界観が、どこか数学的な感じがした。