野田秀樹 THE BEE

一度観てみたかった野田秀樹の舞台!
水天宮ピットという地味目な場所での公演だけど、出演者は宮沢りえちゃんなど豪華。


野田秀樹のパワーが何か…凄かった。。
初めての私にはちょっとあつくるしいくらいの野田ワールド。そんなに出なくても…と言いたくなっちゃうような「自己演出」が、好きな人には魅力なのか。途中、その過剰さに、心の奥のほうからこみ上げてくる笑いがとまらなかった。


とはいえ、舞台のテンポと場面展開の工夫は芸術的!! 近藤良平さん(コンドルズ)はなんと一人5役を演じていたけど、その演技力もさることながら、セットや場面展開の工夫で見事にこなしていた。 小道具も実に効果的かつ、ちょっぴりシニカルに使われていて、「舞台」だからこそ出来る遊び心がいっぱいいっぱい詰まっていた。


宮沢りえちゃんのエロさも凄かった。最近は「痩せてる」っていうイメージのほうが強かったけど、そもそもが肉感的な体型なんだなぁとあらためて。もちろんそれだけじゃなく、ストリッパー役が実にはまって、場末感も出てたし、ラストのほうの悲壮感はただ事じゃなかった。とっても良い女優さんです。


肝心のストーリーについて。
野田秀樹はじめ、役者さんのそれぞれ個性的なパワーに圧倒されてしまい、見てすぐにはあまり思うところは無かったんだけど、後から噛み締めるほどに想いが伝わってくる、そんな内容でした。この舞台は筒井康隆の原作があるものの、野田が911アメリ同時多発テロに触発されて作ったもの、とのこと。「悪を悪で征すことのむなしさ」みたいなものがテーマなんだけど、なぜ最後の電話では相手の声が聞こえなかったのか、なぜ送られた封筒は最初を除いて開けられなかったのか、なぜ運び屋の刑事はずっと不気味な影として映し出されるのか、なぜ「俺は勝った!やったぞ!」という台詞を使ったのか、など、細かい演出の意図に後から気づくごとに、あぁ、すばらしい舞台だったと思える。


感情にじかに訴えかけてくると言うより、計算されつくされていて後から後から紐解かれる、みたいな緻密さが「あとひくおいしさ」となるような作品でした。